第4章 消えた老舗の和菓子
非番の日。京都の街中を歩く私。その隣を歩くのは同じく非番の綾警部。そしてその肩に乗っているシマリスちゃん。
非番の日なのに何故一緒に行動しているのか。簡単に言えばご褒美を(買って)もらうためだ。綾警部から頼まれた仕事の内容が得意分野ではなく、聞いたり瞬間に顔をしかめてしまった。断ろうと声を出す前に綾警部から『京銘菓梅はら』の新商品『京のとりチョコレート味』を発売日当日にくれると。
そう打診されてしまっては断れない。素直に頷くしかなかった私に綾警部は「お願いします」と。このやり取りをしたのが数日前。
『京のとりチョコレート味』の発売日がお互い非番のため一緒に行きそのまま頂こうと言う算段だ。綾警部はシマリスちゃんの散歩も兼ねているらしい。
人気商品であるため売り切れてしまうかもしれないと思い、開店と同じくらいの時間を目指して歩いているわけだ。が、近づくにつれて慌てるような人の声と、どこかで聞いたことのある声が聞こえてくる。
「(なんで京都に?)」
「おや、これはこれは誰かと思たら、毛利はんやおへんか?」
私が何かに気付いたのを見て綾警部がお店を覗くと、そこに居たのは毛利小五郎と蘭ちゃん園子ちゃんに少年探偵団の面々だった。私達の存在に気付いた毛利小五郎はお店の入り口に立つこちらをジッと見てくる。
「、、、誰?」
まさかの反応。覚えてないの?事件現場で会ったりしたのに。挙句の果てに綾警部を犯人ではないかと疑っておきながら、覚えてない…。
「京都府警の綾小路警部と黒澤刑事だよね?」
すかさずフォローをするコナン君。小学生のコナン君が覚えているのに何故?
「その警部さんと刑事さんが、こんなとこで何してんだ?」
「いや、今日は非番なものでこの子の散歩と、空はんご要望の和菓子を買いにきまして」
ここへ来た理由に軽く呆れる毛利小五郎。そんな反応するのも分からなくない。それにお菓子は私が要望したわけではない、綾警部が打診してきたのだ。
「シマリスって散歩、必要なんでしょうか?」
「さぁ?」
「てゆうかあれじゃ散歩になってねぇし」
こそこそと小さい声で突っ込む少年探偵団。それりゃ突っ込みたくなるよね。シマリスちゃんは綾警部の肩の上を行ったりきたりするだけで基本は乗っているだけだし。