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京都府警の女刑事

第3章 迷宮の十字路





犯人一味の連行や現場の記録等が終わった。これから本部に戻って書類作業か。気が重い。


「空はん、ちと」


綾警部に呼ばれた。どんなお小言をくれるのだろうかな?


綾警部の前に立つといきなり頬を触られた。


「ここ、怪我してますよ」


右側の頬の一部を指で触られたらピリッとした痛みが走る。いつの間にか切れていたらしい。気づかなかった。


「これくらい2、3日で治ります」


「はぁ」とため息を吐く綾警部。呆れられただろうか?


「そやさかい、待ってるように言たんや」


え?


「空はんに怪我してほしくない思て言たんに、勝手に先走って怪我して」


綾警部の手はまだ離れない。


「拐われた一般人の被害者を助けに行くことは警察官として当たり前のことです。今回はこれだけで良かったけど、空はんが怪我したら悲しむ人がいるのを忘れないでほしいんや」


私が怪我して悲しむ人なんていないだろうに。


「空はんの育ての親、兄弟、友達、同期、同僚、そしてこの子も私も悲しみます」


いつの間にか出てきていたシマリスちゃん。悲しんでいるのかいつもより元気がないように見える。


「そう、ですか、?」


「そうです」


まただ。気づいたときに、綾警部の手が頬から頭に移っていた。


やっぱり嫌な気はしない。私はこの手が、、、。


「さぁ戻って報告書を仕上げましょ。朝早くの新幹線で毛利さん達は帰るそうです。早う終わらせて見送りに行きましょう」


「はい」と頷き、綾警部の後を追いかける。


この後、コナン君と服部平次が仏像をこの玉龍寺で見つけて、山能寺に持って帰ったことを私は知らなかった。


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