• テキストサイズ

京都府警の女刑事

第3章 迷宮の十字路





蘭ちゃんが戻って行くのを見届けてから、私は茂みの奥へ行く。玉龍寺からも蘭ちゃんからもアイツらを遠ざける為に。


近くに落ちていた少し大きくて重たい石を手に取り、なるべく遠くへ投げる。


「あっちや!」と石を投げた方へ向かっていくアイツら。意外にも単純なヤツらだな。


さて、玉龍寺へ行くか。何が起こっているのか確かめなくては。


山道へ戻るため茂みを出ると足に衝撃がくる。


「「あっ」」とお互いの声が被る。


「黒澤刑事、どうしてここに?」


衝撃の正体はコナン君だった。小さめの衝撃だったからタヌキやキツネや小動物かと思った。


「君こそどうしてここに?今来たみたいだけど蘭ちゃんに会わなかった?」


コナン君に合わせるようにしゃがむと問い詰めるように見つめる。


「え、蘭姉ちゃん?み、見なかったよ」


怪しい。ここまでは一本道のはず。ついさっき戻って行った蘭ちゃんと会わないなんてことはないはず。


「まぁいいけど、君も早く帰りな。この先は危ない。子どもが行く場所じゃあ、」


「この先に和葉姉ちゃんが捕まっていて、平次兄ちゃんが助けに行っているんだ!」


「は?」いろんなことが一度に頭に入ってきて訳わからなくなった。和葉ちゃんが捕まっているって誰に?服部平次は病院に運ばれたんじゃ?何で助けに行ってるの?頭に手を当てて固まっていると


「黒澤刑事、協力して!早く行かないと平次兄ちゃんと和葉姉ちゃんが!!」


コナン君の話しが本当なら、今からでも綾警部に応援を要請すればいいんだろうけど、それを待っている時間が惜しい。


強い眼差しでこちらを見つめてくるコナン君。この眼差しに似た眼差しを、私は前にどこかで見たことがあるような気がする。


「何か考えはあるの?」


私の問いかけに強い眼差しのまま頷くコナン君。


「黒澤刑事、格闘技とか得意じゃない?あと狙撃とかは?」


「捜査よりもそっちの方が得意かな。狙撃も。誰かに聞いた?」


「黒澤刑事の手を見ると、空手やっている蘭姉ちゃんと手が似てる感じだし、もしかしたら狙撃もかなって思って」


よく見てるな。小学生だ。毛利小五郎の影響か、または工藤新一の影響か。


/ 48ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp