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京都府警の女刑事

第3章 迷宮の十字路





毛利小五郎はシマリスちゃんの身体に木魚を叩くときに使われる撥をくくりつけた。そして池の石に乗せる。


撥を短刀に、池を禊川にみたて実証してみるようだ。


「こら!動けシマリス!」


動こうとしないシマリスちゃん。


「呆れてものも言わせへんな」


綾警部は呆れて腕を組み毛利小五郎を見る。隣の白鳥警部も呆れと困りが混ざった表情をしてる。


千賀鈴さんと山倉さんはすでに退席してる。怒った山倉さんが千賀鈴さんを連れて帰ったの方が合ってるかもしれない。


「お前罪を逃れようとわざとシカトしてるなコラ!」


シマリスちゃんは毛利小五郎を睨むとツーンと顔を背けてしまった。それでも諦めない毛利小五郎に私も我慢の限界がきたようだ。


「いい加減にして!私は綾警部と捜査でほとんど一緒に動いていた。綾警部を疑うなら私も疑うべきじゃない?それに私と綾警部は昨日の夜、鴨川に居た。もちろんシマリスちゃんも。服部平次が襲われた時は府警本部に居た。報告も府警本部で聞いたから疑うなら本部の人に聞いて!それに弓なら綾警部より私の方が、」


私も一緒ならともかく、綾警部だけがありもしない事で疑われてイライラする。口が止まらない。止められない。


「空はん、そこまでや」


頭に重たい物が乗る衝撃で我に返る。つい最近、この衝撃を感じた記憶がある。


「綾警部、、、」


振り返ると私の頭を撫でてる綾警部。


「大丈夫や。私も、あのコも」


「大丈夫」その言葉で込み上げていた感情が静かに去っていく。


綾警部が向けた視線の先には子ども達の手の中にいるシマリスちゃん。あの子達が止めてくれたようだ。ドングリを貰って口いっぱいに頬張っている。


「戻りましょ。そして捜査の続きをしますよ」


私が頷くまで、綾警部は撫でる手を止めなかった。


「申し訳ありません。取り乱しました」


山能寺から出た私は綾警部に謝る。こんなに感情的に取り乱したのはいつ以来だろうか。


「私やこのコのことを思って言うてくれたんやろ?ならええよ。それに嬉しかったです。毛利さんの推理に流されず私の無実を証明してくれた」


シマリスちゃんを撫でてる手をこちらに伸ばしてくる。


「ほんま、おおきに」


またも頭を撫でられる。この手を振り払いたくはないと思った。


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