第3章 迷宮の十字路
通された部屋には毛利小五郎と、娘の蘭ちゃん、蘭ちゃんの友達の園子ちゃん、先ほどコナン君と一緒にいた50代くらいの男性、コナン君の同級生の子ども達が居た。
「昨日の女刑事さん」
園子ちゃんがこちらを指差す。毛利小五郎は「誰だ?」と腕を組み怪しむような目を向けている。昨日会ってるはずだが。
「昨日の御茶屋さんに来た刑事さんよ、お父さん」
蘭ちゃんしっかりしてるな。
「京都府警の黒澤です」と警察手帳を見せながら名乗ると「あっ!!」と思い出したようだ。
「昨日は、現場保存、ありがとうございました」
座っている毛利小五郎に向き合うように座り座礼をする。こんなときは座礼だよね?前に弓やったときに教えてもらったし、綾警部にも教えてもらった。相手が(特に和室に)座っているときに立っているのは失礼にあたると。
「黒澤刑事、挨拶はそのくらいでいいかと。毛利さんに聞きたいことがあるんですよね?」
白鳥警部に言われ、絵を取り出して見せるとまたも「あっ!!」と思い出したような反応をする。
「この絵について何か分かっていることがあったら教えてもらおうと思いまして」
「いや~それなんですが、まったく分からず」
隣に座る蘭ちゃんと園子ちゃんの目が据わっている。まだ何も分かっていない毛利小五郎にあきれているようだな。
「それよりも昨日の事件で分かったことはないのか?」
事件のことと言っても特に進展もないが、毛利小五郎に話してもいいのだろうか?と考えていると白鳥警部が「毛利さんなら大丈夫ですよ」と言う。
「毛利さんには我々も捜査に協力してもらうことがあります。京都府警にも何か力になってくれると思いますよ。眠っているときは特に」
「『眠っているとき』は余計だ!」
白鳥警部が言うなら問題ないのだろう。もし綾警部に咎められるときがあれば白鳥警部に盾になってもらおう。
「分かった事と言っても、昨日、桜氏殺害に使われた凶器と服部平次が襲われた時に使用された凶器が同じ物ということが分かりました。そのため京都府警は容疑者は御茶屋に居た人物ではないと考えています。何者かが侵入して桜氏を殺害したのだと」