第3章 迷宮の十字路
さてどうしようか?と考えた結果、何か知ってそうな毛利小五郎を訪ねることにした。服部平次とコナン君も知ってそうだけど、はぐらかされそうだからやめた。
毛利小五郎は山能寺に滞在してるらしい。交通部の情報によれば、六角通りにあるお寺で明日には12年に一度だけ御開帳される仏像があるそうだ。どこへ行っても交通部(の特に女性警官)は侮れない。今度お菓子でも持っていこう。
六角通りの山能寺近くへ行くと服部平次とコナン君が居るではないか。見つけた。
よく見るとコナン君の他に子どもが3人、50代くらいの男性が1人いる。聞こえる会話からして同級生らしい。
誰かが迷子で皆で捜しに行くらしい。見つからないように後をついて行く。途中、コナン君の隣を歩いている女の子がこちらを振り返る。とっさに物陰に隠れたから見られなかったが、感が鋭い子だな。
結局、迷子の子は六角堂に居た。見つかってよかった。服部平次とコナン君は何かに気づいたのか2人でどこかへ行ってしまう。
行った先は昨日の御茶屋さん横の禊川。何があるのか川を覗いてる。
「『あねさんろっかく』を『よめさんろっかく』と歌てる。なんでやろ?」
静かに後から近づき「知るか」と言うコナン君の言葉を合図に服部平次の頭を一発殴る。怪我を考慮して軽くにしたよ。
「こ、これは黒澤刑事はん。どないしてここに?」
「それはあなた方が一番分かっているのでは?」
ギクッとした2人の反応を見るに分かっているらしい。
「分かっているなら勝手な行動は慎んでもらいたい」
「ごめんなさい」と反省したようにしてるけど1ミリも思ってないだろう。そんな2人の前に例の絵を突き付ける。
「これについて何を知ってる?知らないとは言わせない」
絵を持ってる手とは反対の手に拳を握る。脅迫してるように見られるだろうけど幸い周りに人は居ない。
拳を見せたからかあっさり話してくれた。
毛利小五郎が滞在している山能寺で8年前、秘蔵の仏像が盗まれた。住職は「縁があったらまた戻ってくる」と警察には言わなかった。それが今頃になって仏像のありかが示されたこの絵が山能寺に届いた。絵の謎を解いてもらうため毛利小五郎が招かれたそうだ。京都なのだから服部平次に頼めば早い気がするが。