第3章 迷宮の十字路
病院を出て1時間も経たないうちに「服部平次が病院から居なくなった」と連絡が入る。まぁ予想してた通りだからあまり驚きはしなかった。
「素直におとなしゅうするわけないと思いましたが、こんなにも早く動くとは」
綾警部も驚きと呆れが混ざったような表情をしてる。大滝警部は「平ちゃん」と先ほどよりそわそわ感が倍増してるように見えるし。
「まぁ我々は捜査を開始しましょう。何か分かったらあの子等から連絡してくれるやろ」
呆れの中には信用(?)してる部分もある様子。
「空はんはこの絵が何なのか調べてくれますか?」
は?え?絵?
「この絵が何なのか分かるだけでもええんや。もしこれが暗号ならば解いてもらえればなおよろし」
この絵が何なのか調べるくらいならいけるかもしれないが、もし暗号とかでそれを解読しろなんて私には難しいよ。頭が固いのだから。
思考がフリーズしてると思われたのか綾警部は1つ条件を出してきた。
「もしこれが分かったら○◯◯◯ティラミスもう一度考え直してもええよ」
その瞬間、私の脳みそは動き出した。
「できる限り調べてみます」
「期待してます」
そして大滝警部が申し訳なさそうに話しかけてくる。
「もし、平ちゃんを見つけたら病院へ戻るよう言てもらえますか?まだ怪我が」
「私が言っても聞かないと思いますが、言うだけ言ってみます。場合によっては強行手段に出させてもらいます」
握りこぶしを顔の横に上げる。絶対に聞かないと思うよ。強行手段にならないといいけど。
「かまいません」と言う大滝警部。強行手段を否定しないとは。一応、上司の息子なのに。
「それではたのんます」と絵が書いてある紙を渡された。昨日も見たけど本当に何なのかコレは。
綾警部と別れた後、どうしようか考えているとメールが届いた。昨日とっさに撮った絵を送ったアイツからだった。2つきてる。
1つ目の内容は一言「は?」だけだった。さすがのアイツでも分からないか。
2つ目の内容は「キレイだな」だけ。桜の写真も送っていたんだった。
これだけの内容から考えると、忙しいらしい。私とは比べ物にならない忙しさだろう。まぁ生きていればそれで良い。