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京都府警の女刑事

第3章 迷宮の十字路





『服部平次が梅小路公園で襲われた』と連絡を聞いて動こうとしたら綾警部に止められた。


「空はんは動きすぎや。休める今のうちに休んどき」と言われてしまった。動きすぎなのは綾警部も同じなのに。


確かに身体や頭が重たく感じる。思っている以上にこの身体は限界を感じているようだ。


お言葉に甘えて休ませてもらおう。


「この子もたのんます」


シマリスちゃんを渡された。どことなく眠そうな顔をしている。一緒に休めと言う意味であろう。


仮眠室へ行くと数人が仮眠中だった。シマリスちゃんに鳴かないでと言い、音を立てないよう中に入る。布団を拝借して空いてる場所に敷く。


上着のパーカーを脱いで布団に入るとシマリスちゃんが枕の横で丸くなった。かわいい。寝姿は初めて見たかもしれない。


夜に綾警部と行動を共にすることはあるがシマリスちゃんを見ることはなかったことを思い出す。きっと警部のポッケトの中で眠っていたのだろう。


これはなかなか見れない姿。是非とも写真に収めたい。あまり音を立てないようにカメラをインカメラにしてシマリスちゃんが入るように調整する。自分の顔が少し入ってしまう。これはSNSには上げられない。記念だな。アイツに自慢してやろ。


アイツに写真を送って眠りについた。


つもりだけど、眠れない。家じゃないと眠れない。周りが気になってしまう。仮眠室だから基本的なにも起こらないと思ってても眠れない。


小さい頃、眠るまであの人が近くに居て頭をなでてくれた。もう大人なのに、あの人の手が恋しい。またなでてもらいたい。


眼を閉じて横になるだけでも疲れは(多少)取れると言われるからこのままでいよう。


「……はん、空はん。起き、空はん」


揺さぶられて眼を開ける。まろ眉のような眉毛に切れ長の目の綾警部の顔が目の前にある。部屋は薄っすら明るい。どうやら眠ってしまったようだ。思った以上にこの身体は疲れていたのか。


胸元近くに温かい塊を感じて見ればシマリスちゃんが居た。いつの間にか入ってきてたらしい。


「起こすまで起きないとは、疲れが溜まっていたんやな。かんにんです」


申し訳なさそうな顔をしてるけど「かんにんです」とは私が言う側だ。休ませてもらえたのだから。


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