第3章 迷宮の十字路
結果、誰も凶器を持っていなかった。持ってる方がアホだ。
そして被害者の持ち物に自宅の鍵がなかった。もしかしたらあの二人が持ち出したのかもしれない。綾警部の指示で被害者の自宅がある寺町通りへ警官と行くと案の定、居た。
「勝手に被害者の持ち物を持ち出して、勝手に捜査するのやめてもらえますか?」
しかもちゃんと手袋して。
「これは刑事はん、かんにんな。でも、一つ分かったで。被害者は『源氏蛍』のメンバーの一人や」
「それは本当ですか?」
「この『義経記』に『伊勢三郎』と書かれてる」
赤い表紙の義経記は源氏蛍のメンバーが所有しているものと同じ。これに伊勢三郎と書かれているなら間違いないのだろう。
「それじゃあ俺らはこれで」「バイバイ」と二人は出て行ってしまう。腹立つ。
コナンくん現場なれしすぎてないか?子どもなら泣くか呆然として動けなくなってるぞ。
二人があらたか調べてはいたが、一応調べよう。義経記には確かに伊勢三郎と書いてあった。そして本の真ん中辺りのページには仏像の写真と謎の絵。
この仏像とこの絵はなんだろうか?なんでこんなのが義経記に?謎ばかりが増える。
連れの警官にばれないように絵を写真に納める。アイツなら何か分かるかもしれない。送っておこう。ついでに先程撮った桜の写真も一緒に。
覚えているだろうか?あの桜を。
他、いろいろ調べたがこれといったものはなかった。また後日、他の捜査官がやってくるだろうからその時はそのときだな。
そのまま被害者の自宅を後にし、本部へ戻る。
捜査資料の作成や警部への報告等でかなり遅い時間になってしまった。この時間なら家に帰ってもしょうがないか。泊まり込んだほうがいいだろう。
PCのあるフォルダを開くと何枚かの写真が出てくる。消すことのできない写真。私と5人の男子が写っている。背が高すぎるから私は顔ぐらいしか入ってないけどね。無理やり一緒に撮られたのに消すことができない。これからも消すことはしないだろう。
そんな時だった、梅小路公園で服部平次が襲われてケガをし病院へ運ばれたと連絡が入ったのは。