• テキストサイズ

京都府警の女刑事

第3章 迷宮の十字路





被害者は桜 正造-サクラ ショウゾウ-さん。51歳。寺町通りで古美術店を経営しているらしい。


毛利小五郎とその他数名で御茶屋に来ていた。20時頃、寝不足のため皆が居た2階とは別の1階の部屋で仮眠をとっていた。


21時に起こしてほしいと言っていたため女将さんが21時に部屋へ行くと被害者は居なかった。御手洗いへ行ったのかと思い地下へ行くとトイレではなく納戸の電気が点いていた。戸を開けると被害者が血を流して倒れていた。女将さんの悲鳴を聞き駆け付けた毛利小五郎達が被害者を発見。


その後、すぐに警察へ連絡。他の人達はもともと居た2階の部屋で待機。


そして私達が来た、と。


「頸動脈を切られてるな」


「見事な太刀筋ですね。日本刀でしょうか?一発で決めてるところを見ると、かなりの手練だと思われます」


「『源氏蛍』の事件と同一犯かもしれへん」


左の頸動脈をざっくり。日本刀の切れ味は世界一なんて聞いたことあるが、いい加減な使い方ではこんな風にはならない。手練れた人物の犯行だろう。


スーツの上着のボタンが引きちぎったように外れてる。腹の上に乗っていた財布にはカードやお札がぎっしり入っている。窃盗が目的ではないらしい。


綾警部と毛利小五郎が話している間、私は納戸を離れて御茶屋を見て回った。


納戸を出て奥の壁にはガラス窓がある。大人がギリギリ通れる幅だろう。私は通れる、と思う。


階段上がって横には納涼床がある。テーブルと少しの食べ物と飲み物が置いてあるのを見ると数人ここに居たのだろう。もしガラス窓から出入りしたのならここに居た人が気づきそうだ。


店の入り口は、引き戸を開けると音が鳴って女将さんが気付くはず。現に私達が入って声を掛ける前に女将さんが出てきたのだから。


これらを考えると、容疑者はまだこの中にいるのか?


被害者は切られていたけど、凶器はなかった。容疑者が持っているのか?それとも捨てたのか?さすがに持ってないか。私なら捨てるな。店の中や周りを探す必要がありそうだな。


綾警部の所へ戻ると一通りの確認は終わった様子。


「直に鑑識が来ます。後は任せて我々は身体検査しましょ。まぁ凶器隠し持ってるアホはいないでしょうけど。空はんは女性陣を頼みます」


頷くと皆が居る2階の部屋へ向かった。


/ 48ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp