第1章 世界で一番幸せ【リヴァイ】
花を持っていない方の手でそっとユズアの頬にかかる髪を耳にかけると、一瞬で耳たぶまで赤みがさした。
ユズアの心臓の音が聞こえてくるようで、リヴァイの鼓動もつられて駆け足になる。
花を耳の上の髪に挿し込んでやると、今までそこになかったのが不思議なくらい彼女に似合っていた。
空から降り注ぐ光の粒が、まるでユズアの周りにだけ集まって滑り落ちていくようだ。
眩しさに、リヴァイは目を細めた。
「確かに、あのガキの言う通りだな」
ぼそりとリヴァイが呟くと、ユズアは泣き出しそうな顔で唇を震わせた。
突然のことにどうしたらいいのか途方に暮れているように見えた。
違う、そんな風に困らせたい訳ではない。
「笑え、ユズア」
自分の声が馬鹿みたいに切実な響きを持ってしまって、気恥ずかしさを誤魔化すように、花を挿した指でそっとユズアの頬をなぞる。
「ありがとう……ございます」
そう礼を言ったユズアの声は、少し涙で濡れていた。
頬にあてたリヴァイの指の下で、ゆっくりとユズアの顔が綻んでいく。
潤んだハチミツ色の瞳がリヴァイだけを映しこんで、気持ちを伝えてくる。
それはリヴァイが今まで見てきた人間の表情の中で、最も尊く美しいものだった。
何より、その表情をさせているのが他ならぬ自分だということに、心が震えるような深い満足感を覚える。
リヴァイは今まで感じたことのない種類の喜びに包まれながら、自分がユズアに抱く感情が何か、理解したのだった。