第1章 世界で一番幸せ【リヴァイ】
「なぁなぁ、綺麗な彼女に花をどうだい?」
気が付けば、先ほどの少年がリヴァイたちのテーブルまで来ていた。
少年からは二人が調査兵団の兵士長と部下ではなく、ただの恋人同士に見えているということが、新鮮な驚きとともにリヴァイの胸を打つ。
「きっと花を髪に飾ったら、もっと綺麗だと思うな」
少年は如才なく片目をつむって、ユズアの方を顎で示す。
ユズアが困ったように眉を下げて「ごめんね、私たちは」と言いかけたのを、リヴァイは遮った。
「いくらだ?」
ユズアが隣で息を呑んだのを聞き流して、少年の言う値段よりも多めの硬貨を握らせる。
籠の中からとりわけ可憐な白い花を一輪選び、ユズアの方に向き直った。
ユズアは相変わらず困ったような顔のまま、だけど僅かな期待を瞳に浮かべて、リヴァイを見つめていた。
木々のざわめきが、周囲の景色が、違う世界の出来事のように遠ざかっていく。