第2章 そのキスの意味は【リヴァイ】
「そんなにやばい本なのか、それは」
「ぶっ」
常と何ら変わらない、落ち着いた声で兵長に聞かれて、私は危うくお茶を吹き出しそうになった。
「おい、汚ねぇな」
「兵長、見たんですか?」
冷や汗をかきまがら、つい詰め寄ってしまう。
「表紙の題名だけな」
そう言われて、改めて本の赤い表紙を確認する。
『22のキスの物語』
確かに、なかなか想像力を刺激する題名だ。
「ち、違うんです。友人が面白いからって送ってくれたんですけど、決して変な本じゃないんです。
ただロマンティックなキスのお話が載っているだけで……」
ああ、なぜ私はそんなことを、兵長に説明しているのだろう。
兵長は眉ひとつ動かさずに、じっとこちらを見ている。
今、自分の顔は本の表紙と同じくらい赤いに違いない。
「22もか?」
恋愛小説など興味のかけらもなさそうな兵長が、何故か食い下がってくる。
「キスする場所によって違う意味があって……その意味に応じたお話が22話入っているんです」
兵長がかすかに片眉を上げた。