第2章 そのキスの意味は【リヴァイ】
「兵長!」
声のした方を振り返ると、食堂の入り口で兵長が不機嫌そうに眉を寄せていた。
いつもの制服ではなく、白いシャツを一枚羽織っただけの軽装だ。
肩にタオルをかけて、湿った髪の毛を拭いている。
きっとお風呂上がりに、この食堂に立ち寄ったのだろう。
壁の時計を見れば、就寝時間を少し過ぎていた。
本に夢中になって時間を忘れてしまった。
「す、すみません!すぐ部屋に戻ります!」
さっきの独り言、聞かれていただろうか?
慌てて椅子から立ち上がって部屋に帰ろうとすると、兵長は私の腕をつかんだ。
「落ち着け。別に注意するために来たわけじゃない」
「え?」
意外な言葉に首をかしげる。
「喉が渇いた。何か淹れてくれ」
「はい!」
兵長の言葉に敬礼を返すと、早速隣の厨房に行ってお湯を沸かし茶器の用意をする。
寝る前だからハープティーにしよう。
深夜に兵長と二人きりでお茶出来ることに、勝手に頬が緩んでしまう。
信じられないことに、私はリヴァイ兵長と付き合っている。
ずっと前から、部下としての立場を越えた気持ちを抱いていた。
けれど、それを口に出すことなんて一生ないだろうと思っていた。
ただ近くで共に戦い、その背中を追いかけられれば良かった。
少しでも役に立てるだけで十分だった。