第4章 記憶
ミズキを眠らせる瞬間、オレも龍神眼を出し、まだ幼い龍達をその場に留めると、ミズキを抱き上げ、当主にのみ使用できる龍香の特殊結界“ 龍神結界・紫黒鳳”を発動させ、龍神達とゆっくり話のできる空間を作った……外からは結界が張られてる事も気付けない異空間……。
「…はぁ……オレに分かるように説明してくれる?……“黒龍”?」
『……時期が来たか……久しいな、レンジ?』
「いやいや、いつも一緒にいるだろーが……相変わらず笑えねぇ奴だな?」
『……この姿で我を呼ぶと言うことがだ!……今日はギャラリーが多いな?お披露目会か?』
「ぁあん?ミズキの開眼おめでとう会ってか?って笑えねぇよ!!」
『この子がミズキか……可愛いなあ……お前じゃなくミトカに似て良かったな、レンジ?』
「〜〜〜黒龍〜〜お前はホントに〜〜ッ!!……ハァ…まぁ良いよ……で、フウ達が二体……何がどーなってる?そもそも一族の中でフウ達を具現化出来るのは“龍神眼”を待つ、当主と巫女だけ……オレでも五性質の龍たちの具現化は出来ない……だが……」
『五性質を一人で扱えたのは…初代 龍香 喜助のみだ……そして、五性質を待ち、ようやく生まれてきたのが、この子、ミズキだ』
「……単刀直入に聞く……どうして、今までチャクラも感じられなかったミズキが開眼した?そもそも龍香の瞳術は生まれ持ってで分かるはず……それ以外で開眼した例はない……そして、なぜ、新しく龍神達が生まれた?」
『龍たちの世代代わりだ……初代から続いたレンジが従える龍神達はレンジ、お前の死と共に同じく死にいる……そしてオレ達に愛されるべく生まれて来た子供に龍神達の生は受け継がれる……五性質の龍とこのオレ、黒龍の主人としてな?』
オレが黒龍を空間から取り出し具現化させると全員がその姿を初めて見たから流石のヒルゼン様も一瞬驚いた……気にせずオレはいつも通りのやりとりをし、レンジ以外は誰も口を開けず、ただ黒龍と話すレンジを見据え、レンジは黒龍の話に驚きつつも龍神たちの世代交代が行われる事実に何処か納得し小さな龍神達を見つめた。