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瑠璃色の瞳のその先に

第4章 記憶


流れゆく時の中で自身の幼き頃の記憶が頭に直接蘇ってくる……パパとママと一緒……なんで忘れる必要があったの?
場面が変わりニ歳になって間もないだろう私が寒空の下、家の前で誰かを待っているかのように立っていた。


「ミズキ様、部屋に戻りましょう……体が冷えてしまいます……」

「ううん、大丈夫……とーさまとかーさまを待ってるから……アケルは部屋に入っていいよ?」

「……ははっ!では、私も__ミズキ様ッ!?」

「キャー!!とーさま、かーさま!!おかえりなさい!!」

「ッ!?ッと、ミズキ、ただいま!こんなに冷たくなって……風邪ひくぞ?」

「キャハハッ!とーさま、暖かい!かーさまも抱っこ!!」


この頃の私は龍香一族の土地を離れることを許されてなかった……父と母が任務に出ると、教えられた訳ではないのに“ 龍香一族”当主の娘として誰に対しても年齢離れした態度で接していた……一族の中でも特別扱いされていたのが原因なのかも知れない……でも両親が任務から戻る時には気配を感じ取り、どんな天候でも二人の戻りを何時間も前から待ち続け、帰った途端に年相応の反応で二人から離れず甘えていた……。


「ミズキ、ごめんね、遅くなって!アケル、ありがとう……何も無かった?」

「はい、変わりなく……」
 
「……さぁ、家に入ろう!明日は三代目様がミズキに逢いたいって事で、里に向かうぞ?」

「えっ!とーさま、ホント!?ミズキ、里に行くの初めて!!ホントに行っても良いの!!?」

「ああ、ほーんとだよ!!」

「で、どうだった?」

「……ミズキ様は私といる時、あの様な子供のお顔を見せる事はありません……先日はお部屋で膝を擦りむく怪我をされたのですが、私たちの前では泣かれませんでした……その後、お部屋でお一人、ミトカ様をお呼びになりながら……」

「兄さん……いつもありがとう…… ミズキを護ってくれて……それに二人の時は敬語はいらないわよ?」

「ああ……さぁ、ミトカ、ミズキの側に……」


レンジがミズキを連れて家に入ってくれたから、自分の実兄であるアケルとしばらく話し、感謝の意を告げるとアケルは優しく微笑み、ひと時の親子の時間を楽しむようにとその場を去り、私もそれを見送ると家に入った。
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