第4章 記憶
これは……私の知らない過去の記憶……
木ノ葉の里から少し離れた、緑の草の絨毯が一面に広がる場所に楽しそうに笑う声が響き、私は何処か懐かしいその場所へ近づいた…………。
「キャハハッ!とーさま!!かーさま!!はやく、はやくっ!!」
「ミズキ、そんなに走ると__あっ!」
___危ない!
「………フェ……いちゃい……」
___コケちゃった……アレは……私?
「あはははっ!ミズキ、派手にいったなぁー?痛いか?痛いよなぁー!よーし、じゃあ、こーだ!!」
___あの人は……
「あはははっ!痛いなぁー、どうだ、ミズキ?ミズキの痛いの、とーさまに移ったぞぉー?」
「とーさま、大丈夫?キャハハ、とーさまがふぃーってしてくれたからいたくなくなったぁー!!とーさま、大しゅきー!!」
「もぉ、レンジ、ミズキ、服が草だらけになっちゃったじゃない!ふふふふっ!!」
「キャハハッ!!」
歩き始めて間もない幼い子供とその両親、赤髪が特徴的な長身の男性と長い黒髪の小柄で優しい雰囲気を纏う女性がそこに居た……あの人達は……やっぱり……あの幼い子を“ ミズキ”って……私を助けてくれた二人が自分の両親であることに涙が溢れて……そんな私を慰めるように、背中から草むらに倒れ父の胸の上ではしゃぐ私と優しく見守る母……幸せそうな三人の笑い声が暫く響き渡った……。
「ミズキ、寝ちゃったわ?久しぶりだったから、よっぽどお外が楽しかったのね…」
「各里の状況も悪くて任務続きだからな…… ミズキには寂しい思いをさせてるな………」
「……私たちの仕事は分かってくれてる……だから、我が儘も言わないで……この子は“忍”でなく、普通の子として育てたいわね」
「ああ、そうしたいな……その前に、この忍の乱世が平穏になればいいんだが……てか、オレも寝なきゃ……コレ、外れない」
「ホント!寝ましょうか!」
オレはソファで眠ったミズキをベッドへ抱き抱えて連れて行き、幸せそうに眠る我が子の側にずっと居られない、この時代を嘆きながら服を掴んで離さないミズキに笑みを浮かべ、川の字で眠りについた。