第4章 記憶
……ピクリとも動けない……腕を掴まれただけなのに……くそ……そっちがその気なら力付くで外すだけ……苛立ちながらカカシに身体を拗らせ蹴りを入れるけど、反対の手で静止され、もう片方の脚で鳩尾を狙うけど脚で抑えられて……逆に腕を背中で捩じり上げられた……それでも私は力を込め骨が軋む音がした……。
「……それ以上、力入れると腕、折れるよ……組み手でオレに勝てるわけないでしょーよ……」
「ハァ…ハァ……じゃあ、腕の一本あげるよ?だから___ッ!!」
「ミナト先生は言わなかったんじゃない…… ミズキをあの日、連れ出してから、上層部や大名とかがミズキの記憶を思い出させる為に必死だった……」
「…………」
「……その度にミズキは苦しんで、その事実すらも消してたんだ……ミナト先生とレンジさんは仲が良かったからね……もしもの時はミズキの事を託してたんだよ……」
「……は……?…なに…それ…?知らない……そんなの知らないッ!!もう、知りたく無いっ!!」
敵わないと分かってても挑んでくるとか……腕を捻り上げても更に抜けようと赤い目をして睨んでくるミズキが本当に壊れそうで、オレは包み込む様に背後からミズキを抱きしめると、ゆっくりとオレが見て来た事を伝えるとミズキは固く目を閉じ肩を震わせた……。
「……もう良いんじゃ無い?過去を受け入れても……ミナト先生はレンジさんにミズキが狙われる可能性を聞いてた……それから自分自身にも危険が迫るかも知れない事もないね?」
「……う…そ……よ………何で……」
「それは、ミズキが龍香の血に愛されてたから…… 龍香 喜助と同じ力を持ち、龍香の最強の力を再び持つ者としてな……だからね、ミナト先生はミズキを他の奴らから守る為に引き取ったの……勿論、瞳術の為じゃない……友の形見を護るため……何よりも…… ミズキの笑顔を護るためにね?
ねぇ、ミズキ……記憶どうする?」
カカシの言葉にパパの愛を再確認すると静かに涙が溢れ出し、私の霞がかり混濁した気持ちが晴れてくのを感じ、緊張が解かれるとカカシは優しい笑みを浮かべ更に強く抱きしめられた……。