第2章 葛藤
再び雨が強まり出す中、私は花束を手に歴代火影の眠る墓標の前に何時間も立ち尽くしていた……花はいのいちさんにこっそり売って貰い、私の事は黙っていてくれた……何も言わずに背中を押してくれた……ホント、みんな私に優しすぎる……。
「…………」
「……いつまでここにいるつもり?」
「…………カカシには関係ない……放っておいて……」
「……何時間もここに居るんでしょ?これ以上は体力を取られる……ミズキ、まだ__」
「自分のことなら自分がよく分かってる!!一人にしてよ!」
「……はぁ……そんな状態のお前を放っておけないんでしょーよ!」
「ッ!?カカシ!……離して!!」
「ダメ!!お前はオレには甘えていーんだよ……ま、とりあえず一緒にご飯食べるよ!オレ、久しぶりにミズキの味噌汁飲みたいから!」
「ッ!?…………バカ……」
漸く花を添え終え、再びその場に立ち尽くしてると、またカカシが気配消して来た……一人にしてと嘆願しても動こうとしない私を担ぎ上げて……優しくなんかしないでよ……泣きそうになるのを抑えながらカカシの肩に顔を埋めた……。
「ミズキ、とりあえず先にお風呂入っといで!」
「……うん……」
あったかい……久しぶりだなぁ……お湯に浸かるの……ここで寝たら死んじゃうか……まぁ、ゆっくりリラックスしてなら良い様な気がする……え……洗濯ッ!?……回す少し前に言ってよ……恥ずかしく……これでも年頃の……あ……彼女にもしてあげるのかなぁ〜?その癖かもね……。
「カカシ、お風呂ありがとう〜!やっぱ、カカシの服大きい〜!んー、良い匂い!サンマだぁー」
「…………」
「ん?カカシ?どうしたの?」
「いや、ちゃんと髪乾かしなさーいよ!オレも入って来るねー!味噌汁よろしくー♪」
ミズキ、反則……無防備過ぎでしょ!オレ、一応男なんだけど……オレのシャツをワンピースの様に着てるから、脚はほぼ見えてるし、髪から滴る水と白い肌に息を飲み危うく愛読書を落としそうになる……オレが言葉を無くしてるとミズキが不思議そうに覗いて来て……ヤバい……オレはミズキの濡れてる髪をぐしゃぐしゃと撫で、怒って頬を膨らませるミズキに笑みを浮かべ、そうそうに風呂場へと足を進めた。