第4章 記憶
ミズキはオレの眼をただ一点見つめ、瞼が落ち始めるのをオレはあの日、レンジと話した事を思い返しながら見つめた……。
『さて、黒龍、ミズキが成長するまで龍神眼の力を封印させる事は可能か?もちろん、今はオレが封印する……だが、オレ達も里にいるからと言って安全ではない……それに、万が一がある……』
『出来ない事はないが………その条件はレンジ、お前達が死にお前の封印が解ける事……そして、お前達を含む龍香の事、その時までのミズキの記憶を全て消し去ることで封印することは可能だ』
『そんな……一切の記憶……?』
『あぁ、全てだ……それだけオレ達、龍神を封印するのには骨が折れるんだ……単なる力の剥奪ではないからな……』
『そうか、それで済むなら良かった!じゃあ、オレの封印もオレが死んだら解けるようにしておく……オレ達が死ぬとフウ達は黒龍に戻るんだろ?その時、封印して欲しい……』
『……記憶を無くすのは辛い選択だぞ……?この子にも、お前たちにも……』
『……それでも、オレたちはミズキには木ノ葉で幸せに暮らして欲しいんだ…… 一人の忍としてな……黒龍、お前も眠る事になるんだろ?悪いな!』
『……はぁ……分かった……が、死ぬなよ、お前ら!』
カカシ坊も記憶が戻っただろうな…… ミズキ、すまないな……オレは御神体と言っても当主一人も護れない……レンジ達の決断はミズキを護るため……それにオレは従う事しか出来ない……。
黒龍……そんな哀しそうな顔しないで……私は辛うじて残る意識の中、辛そうな瞳をした黒龍に手を伸ばし頬を撫でると、黒龍が少し驚いた顔を見せた後、優しい眼をしてくれて……そのまま優しい瞳に包まれて……私は静かに意識を手放した……。
ミズキ、愛してる………オレ達の最愛の宝物……
この先、何があっても……オレ達はミズキの味方だ…
ずっと側に居るから……
ずっと側で、ミズキの幸せを願ってるよ………
だから生きて……愛する人と幸せになって………
それが、とーさまとかーさまの願いだよ………
薄れゆく意識の中、大好きな声を聞きながら、私は……深い闇へと堕ちていった……。