第4章 記憶
ミズキが龍神眼を…… 龍宿展篶までか……ははっ…ホント、オレがちゃんと見てやりたかったな………オレ達に出来ることはミズキを護ることだ……オレは身体を引き摺りながら起こし、ミトカを抱き寄せた……オレはお前を護ってやれなかった……けど、オレは幸せだったよ……ミトカが居てミズキが居て……ありがとう……。
「____ゴホッ……ミ……トカ……?」
「ヒュ……ヒュ…………レ…ン…ジ…………」
「ミ……トカ……ご___」
「レ…ンジ……私……幸……せよ……だ……から……、わら……って……?」
「ッ!!ミト…カ……あい…し……てる……」
「ゥン……」
「「………〔龍神封印・龍封詠消法印(リュウフウエイショウホウイン)〕」」
オレの腕の中で浅い息を繰り返すミトカが薄く目を開け、オレの言葉を遮り優しい笑みを浮かべてくれた……オレも幸せだよ…………ミトカが頬へ寄せてくれた手を取り、頷きあい、指を絡ませ手を繋ぎ、残りの力で術を発動させるとオレたちは龍神達へと包まれた……。
『ミトカッ!!いいから来いっ!!オレはお前の事が初めてあった時から好きなんだよっ!!!勝手に巫女になんかなってんじゃねーよ!!オレの隣はお前じゃなきゃダメなんだっ!!龍香の掟なんて知らねーよっ!!そんなの、壊せば良いんだっ!!』
『ッ!!レンジッ!!私もレンジが好き!!一緒に連れてってッ!!』
ミトカ、ありがとう……オレは世界一幸せな男だよ……お前を無理矢理連れ出して、三代目に匿われながら里の外で一緒に過ごして……ミズキが産まれた……ホント、幸せだった……。
ばかね、レンジ……私があなたに逢えて幸せなのよ……初めて逢った時から……あなたの自由さ強さ優しさが、一族に生まれて生きる希望も無かった私に笑顔をくれたの……そして、私たちの宝物…… ミズキが生まれて、本当に毎日が幸せだった……。
オレたちの願いはミズキの幸せだ…………愛してる、ミズキ……どうか………。
龍神たちに包まれ痛みも無くなり暖かな光の中、オレとミトカは抱きしめ合い光の中へと消えた……ただ一人の最愛の娘の幸せを願いながら………。