第4章 記憶
ミトカの肩に手を置き、小さく頷くとそっとミズキを抱き寄せ片腕で抱くと小さな手を取り“黒龍”を握らせ、オレとミズキの親指を切り血を含ませると黒龍は具現化し姿を見せた。
「…… ミズキ……一緒に持って……」
「……“黒龍”?なん__ッ?」
「“当主 龍香 レンジの名において、汝、コレより龍香 ミズキを次期当主とし血族の契約を契る”」
“龍香一族、次期当主• 龍香 ミズキ、お主を我が主と認める”
オレとミズキの血が混ざった時、オレの額が蒼く光り、契りを交わすと黒龍はミズキ額に忠誠の印を付け、同じくミズキの額にも龍神の印が浮かび上がり次期当主としての契りを交わした……。
本当はミズキを龍香の契りで縛りたくなかった……平和であれば…… ミズキも黒龍もみんな、自由に出来たかも知れない……ごめんな、ミズキ……。
「……さてと……」
「………」
「……とー……さま?……かー…さま?」
「……“黒龍”、ミズキを頼んだぞ?」
『……いいんだな?』
「ああ、それがミズキの為だ……」
『……分かった……レンジ…ミトカ……もう一度言う……“死ぬな”よ……』
「フフフッ、ええ!!ミズキがいるんだもん!死なないわ!」
「あはははっ!そーだよ!黒龍、心配すんな!」
「……ッ!」
『……レンジ、コレを持っていけ……』
「…ああ、助かる……」
「ッ!!ヤ……ヤダッ!!」
ミズキは自分に巻き付いた“黒龍”に驚きながら不安げにオレ達の手を強く握りしめて来て……大丈夫、死なないよ…… ミズキを置いてなんか行かない……オレが黒龍に声をかけると黒龍はレンジの決心に眼を閉じ静かに頷き、そして、自らの忍刀を渡してくれた……その時、ミズキの叫び声が響いて……オレは笑いながらミズキの涙を脱ぐった……。