第4章 記憶
ここは龍香の聖地……龍神が護る場所……当主や龍神達の許可がない者……邪な心の持ち主の侵入は不可能……もちろん如何なる攻撃も弾く……許可なく入ろうとすればただでは済まない……オレの言う通り先生は芝に入る手前で違和感を感じ立ち止まり不敵な笑みを浮かべてオレ達親子を見つめた。
「ここに籠城でもするつもり?」
「そんな馬鹿げた事しても何の意味もないだろ……増援が来たとしても無駄な犠牲者が増えるだけだ……逃げはしない……言っただろ?お前を殺すって……もう少し待ってろ!」
「フフフッ…殺す……ねぇ……?まぁ、いいわ……あと少しよ?」
「……ミズキ、とーさまのお話、聞いて?」
「……ヤダ!!」
「はははっ!ミズキはまだまだ子供だなぁ〜?ミズキ、今日で6歳になったんだぞぉー!おめでとう!」
「おめでとう、ミズキ!元気に育ってくれて、ありがとう……」
「…… ミズキ、とーさまとかーさま大好き!!だから…ずっと一緒にいる!!ミズキも連れて行って……お願い……それ以外、何もいらない!!!」
「ッ………」
「…ゥ…ッミズキ……」
先生に背を向け、ミトカに抱かれるミズキの頭を撫でながら話を聞く様に促すも、首を横に振り嫌がるミズキをミトカごと抱きしめ、笑いながらミズキの誕生日を祝うとミズキは無意識にオレ達との別れを意識したんだろう……ただ一緒にいたいと願うミズキにオレは強く抱きしめる事しか出来ず、ミトカも堪えていた涙が溢れた……一緒に居たい気持ちは同じだよ……。