第4章 記憶
忍として生きる事……命をかけて里のために戦う……殺し殺され、時に仲間や親兄弟……そして、最愛の者の“死”を受け入れなければならない時もある……今、ミズキは初めて目の前で人の“死”を見た……ずっと一緒に居た家族だ……心が壊れてもおかしくない……。
「ミトカ、一度飛ぶぞ!捕まれッ!!」
______!!
「ッ!?……無駄な事を……全く手間をかけないで欲しいわ……」
ミズキの瞳は何も映し出さず、ただ自身を責める様に震え出し、心が壊れてもおかしくない状況で……オレは二人を抱き寄せ掌印し、この場から姿を消し、オレ達、家族が穏やかに過ごした緑の丘へ移動し、この場だけ……いつもと変わらない姿で迎えてくれた……。
「ミズキ、ミズキッ!!大丈夫よ……大丈夫……」
「……ッ……ァ……ァア……」
「…… ミズキ、しっかりしろ…… 」
「___ミズキ_ッ…ノ……セィ………」
「ッ!レンジ、やめて…… ミズキが……」
「………ミズキ……ミズキッ!!!ちゃんとアケルの死を受け入れろッ!!!」
「………ッ!?」
ミトカの腕の中で震えるミズキの瞳は何も映し出さずにただ、声にならない叫びを上げて首を振り続けて……酷なことは分かってる……ミトカの静止を振り切り、オレが自分の足で立たせて正面で向き合い肩を持つと強い口調で声をかけると、ミズキはビクッと身を跳ねさせると同時に震えが止まった……。
「ミズキ、とーさまを見て?」
「〜〜〜〜ッ!……とーさまぁ〜〜、かーさまぁ〜〜〜、アケルが……アケルがぁああ……ミズキの…せいで…… ミズキが……居た……からぁ〜……」
「違うよ…… ミズキのせいじゃない……だから自分を責めないで……」
ミズキの瞳に光が戻り涙が溢れ出して……オレ達は安堵と共に自分を責めるミズキを優しく抱きしめた……誰も悪くない……強いて言うなら狙われたこの“血”だ……ごめんな、ミズキ…。