第4章 記憶
目の前の光景にオレは安堵と共に、今まで見たことのないアケルの優しく全てから解放された様な表情に胸が熱くなり、ミトカがアケルの下に駆け寄った……。
「……ァ……ケ………ルゥ……ッ!!」
「ふぅ、間に合った………ハハッ……ミズキ、勝手に一人で出て行ったらダメだろ?……全くお転婆だな……オレの可愛い姪っ子……ずっと、こうしたかった……大好きだよ、ミズキ……生まれて来てくれて……ありがとう………ッ!!?ミトカ、ミズキを!!」
「くそッ!邪魔しないで!!」
「ッ!!?」
「……ッ!!?……ア……ケル……?……かあ…さま……?アケルが……」
「ッ!!……兄さん……」
「……イ………ヶェ……!!」
「ちっ!まだ生きてたか!!この死に損ないがッ!!」
アケルが身を呈してミズキを抱きしめ、初めて一族の一員ではなく叔父としての表情を見せていた……そして、再び大蛇丸の蛇手が迫り、ミズキをミトカへ渡した瞬間、草薙の剣で胸を貫かれるもそれを掴み大蛇丸の動きを捕らえると、その隙にオレは二人を連れて距離を取り、大蛇丸は怒りのまま牙でアケルの首へ噛み付き、アケルはその場に倒れた……。
「さぁ、無駄な事はやめて…レンジ、ミトカ……大人しくミズキちゃんを渡しなさい!」
「渡すわけないでしょ!!兄さんが命をかけて護ってくれた!!アンタにミズキを渡すわけないでしょ!!」
「ああ……アンタは許せねぇ…… ミズキも渡さねぇ……オレ達も全力でアンタを殺す……これ以上、ミズキにも里にも危害を与えねぇよーに……」
「フン、戯言ね……」
「……ア………アア……ャ………」
「ミズキ、大丈夫……」
「ゥアア……ッ!」
「ッ!?レンジッ!!ミズキが!!?」
「ッ…… ミズキ……ッ!!」
オレは今抱く全ての怒りが力となり、至極落ち着いた気持ちで大蛇丸を見据え、全ての幕を引こうとした時、ミズキがミトカの腕の中で震え始め、アケルの倒れる姿に涙を流し声にならない叫びで手を伸ばしながら口を動かし、ミトカの声でオレはミズキ異変に気付き、目を見開いた……。