第57章 心のこもったストラップ7
貴方side
コナン「おい、なんで1年生ってわかるんだ?」
光彦「え?だって、電車の扉の窓ガラスに、はぁ~って息を吹きかけて、指で書いてましたから。“ひらがなだけど、書けるようになったよ!偉いでしょー?”って。あれきっと、自分の名前だと思います!残念ながらなんて書いたかは見えませんでしたけど…」
安室「…君たちが乗った車両は、何両目だったか、覚えているかい?」
元太「確か、前から三つ目の真ん中に乗ったよな」
それを聞いたら零さんは、真剣な顔つきになる…
歩美「なんて書いてあったのか、本当に覚えてないの?」
光彦「はい。電車の窓に当てた、その子の白い指は覚えてるんですけど…」
元太「白い指って…この親子日焼けして真っ黒じゃんかよ」
光彦「でもこの動画をよーく見ると…ほら、2人とも!」
元太「あーっ!この親子、手首から先が真っ白じゃんか!」
歩美「それに見て!お父さんのバッグ!何か角ばったもの入れてるみたいだよ!」
鞄の中には、確かに膨れて何か入ってる
光彦「クーラーボックスのベルトが切れて、バッグに入れてるんでしょうか?」
歩美「じゃあ、お魚釣りとか?」
元太「でも、竿持ってねぇぞ?」
光彦「山登りにしては軽装すぎますし…」
コナン「もしかしたら…潮干狩りかもしれねぇな」
そう言うコナンに、子供達は吹き出して笑い出す
歩美「潮干狩りは春よ!」
元太「今は夏休みだぞ?」
コナン「いや、実は潮干狩りは1年中出来るんだ」
子供達「え…?!」
コナン「確かに、気候的にちょうどよく、貝が産卵のために栄養を多く溜めている4月から5月がベストシーズンだけど、7月に入っても、潮干狩り会場を開いている海水浴場はザラにあるんだ」
安室「それに、今日の千槍海水浴場の干潮は17時59分で、潮干狩りは干潮の1~2時間前に現地に着いているのがベストだから、その電車に乗るのも頷けるね」
歩美「じゃあ、その海水浴場に行けば!」
光彦「灰原さんのストラップを取り戻せるんですね!」
コナン「その男の子も、お父さんが拾ったストラップが自分のじゃないって分かれば、素直に渡してくれるよ」
歩美「うん!受け取ったら、哀ちゃんに返すまでもう、ぜーったい誰にも渡さないんだから!」