第36章 努力家な部分
安室side
__
夜頃
梓さんは先に上がり、店内には俺と怜花のみ。
貴「…」
横の方で、何かの試作品を作っている怜花
貴「……出来た」
安室「…?これは…」
貴「…溶けない、ケーキ、です」
安室「!」
もしかして、解決策って…新しい試作品を?
安室「ずっと、そっちの解決策を?」
貴「だって、食べたいと思ってくれてる人が居るなら早く解決したいじゃないですか」
安室「…」
溶けた原因を探すより、新しく試作品作る事が彼女にとってはやりたい事なのか…
貴「因みに、ナイフで切ってもらえますか?」
安室「え?」
渡された試作品。以前の新作ケーキより生地が凹んでいて見た目は普通
そんな中、言われた通り生地をナイフで切ると…
トロッ…
安室「!これは…中にクリーム。しかも、温かい?」
貴「…クリーム入れるのは、フォンダンショコラを基準に考えてみました。最初から崩れた生地なら、溶ける事はないですよね」
安室「なるほど…」
貴「見た目は落ちましたが、味は保証します。食べてみてくれませんか?」
そう言われたので、一口口に運ぶ
安室「…!上手いな」
貴「!良かったー!」
安心したような笑みでホッとする彼女の頭を撫でる
ポン
貴「?……零さん…?」
安室「ずっと、考えてただろ?眠そうだよ」
貴「…あ、いや…あはは…」
安室「あと少しで閉店だから、裏で休め。家まで送るから」
貴「……でも」
安室「………仕方ない」
ガシッ
貴「?!え、零さん…?」
無理矢理、手を掴みながら裏にある椅子に座らせる
安室「大丈夫だから、休む事………良いな?」
貴「……ありがと、ございま…」
半ば強引にそう言うと、限界が来たのかウトウト眠りにつく彼女
スイーツに関しては、誰よりも積極的
それは多分、食べたいという蘭さん達や子供達の為、か
試作品を作るという解決策を考える、その努力家な部分も好きな所な一部だな
数分後、閉店になり怜花を阿笠博士の家まで送り届け1日を終えた