第20章 仲の悪いガールズバンド6
貴方side
何気なく話し出したその内容は、一部の人間にはとても衝撃的なもの
表上死んだことにされている、聞いた通り赤井さんの妹だから
確かに、目元や頭脳明晰な部分などよく似ている
新一は知らなかったのか目を見開いて驚いており、零さんは目を細めて真純を見ている
世良「ボク、その時友達と映画観た帰りだったんだけど走って秀兄と同じ電車に飛び乗ったんだ!どうしても秀兄のギターが聞きたくてね!」
蘭「へー…」
園子「それで?それで?」
世良「何度か乗り換えた駅のホームで秀兄に見つかっちゃってさ…『帰れ』って怒られたんだけどお金もないし帰り方もわからないって言ったら『切符買ってきてやるから待ってろ』ってボクをホームに残して行っちゃったんだ…」
蘭が「それで?言われた通りに待ってたの?」
世良「ああ…泣きそうな気分でね。でもさ、その時秀兄の連れの男が『君…音楽好きか?』って言ってケースからベースを出してさ…ボクに教えてくれたんだ」
貴「…その人の名前は?」
世良「いや…聞いてないけど。そのホームに来た別の連れの男がその人の事をこう呼んでたよ…『スコッチ』ってね…」
コナン「…」チラ
安室「…」
松田「…」
真純がそう言った途端、零さんの視線が一層鋭く彼女を射抜く
スコッチ曰く、幼馴染である事を知ってる新一はチラチラ零さんを見ている
近くで聞いていた陣平さんも、スコッチがヒロさんだと知ってるから黙っていた
世良「でもさ。彼をそう呼んだその男…帽子を目深に被ってたから顔はよく見えなかったけど。
似てる気がするんだよね…安室さん…アンタにな!!」
安室「……人違いですよ。そんな昔話より今、ここで起きた事件を解決しませんか?君も探偵なんだよね?」
世良「ああ…そうだな…」
平然とした表情で話を晒した零さんに、真純はいい顔はしていない
『スコッチ』という人物を知ってるような零さんに聞きたかったんだろう
もし男の正体が零さんだったとしたら、兄の赤井さんのことで何か知っているはず
けど、何も話さない彼に対し諦めた真純は新ためて事件に目を向ける