第19章 【第三幕】月を渇望する太陽
「スーツにシワなし!スケジュール帳はカバンの中に入れたし、マイボトルも入れたし----よし、じゃ、行ってくる!」
と、スーツに着替えた私がドアの前でハッサムに言うとコクリと頷いてくれた。他のみんなは寝てるのに、ハッサムはいつも早起きして見送ってくれるしっかり者。ストライクの頃はサファリパークで大荒れしてた子だったのに。
名残惜しいけど、私は今、あのダンデのマネージャーを任されている。3ヶ月と言う短い期間だけど、ダンデには色々助けられた恩もある。決してローズさんが高い時給を提示してくれたから飛びついた--ってわけじゃない。…いや、ちょっとはあるけど。
大会の賞品ももらったけど、将来どうなるかわからないし、貯金は大事だよね!
それに、大体はポケモンたちのポケモンフーズと、旅費と、推し活グッズに使われるんだけど。
そして、私は今、社員寮の一部屋を借りてローズタワーに出社するんだけど、社員寮なのに設備もしっかりしてて居心地がすごくいい。さすがローズさん、ここもちゃんと拘ったのかな…?そりゃスタッフのみんながあんなに頑張ってイベントをしてくれるわけだ。
給料もいい、休みもしっかりある、社員寮もバッチリ、スタッフのみんなも優しくて明るい人が多い。ホワイトすぎる!!!
「キッチンのカウンターにみんなのポフィン置いてあるから、お腹空いたらそれを食べてね!えーっとえーと、それから…」
「ハッ!」
「はいはい、じゃ、いってきまーす!」
異世界転生する前なんて最高にブラックなところに働いてたのが懐かしい…仕事が終わってからダッシュで家に帰って、時間ギリギリまでポケモンのゲームをやり込んだあの日が懐かしい…あの目が死んでた上司はまだあの職場にいるんだろうか。
同じオタクだと分かってよく話したし、キバナ様がどれくらい素敵か勧めたけど、あの人美少女育成スマホゲームに夢中だったしなぁ。
私には理解できない世界だったけど、きっと上司もキバナ様の良さを理解できなかったに違いない。
とりあえず上司も生まれ変わったら、美少女に囲まれて幸せになってくれ。私は今最高に幸せな人生を送ってるから。