〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第10章 意外な弱点
「あら、キースさん。
若い子にこんなに酒飲ませてどうするんです?」
じとーっと何か良くない事を思っているのかそんな目で見つめてくるカルラに慌ててキースは言った。
「ばっ、馬鹿か!カルラ、俺がそんな事をする訳ないだろう!」
「へぇ、そうですか…
ジルちゃん、もう酒はやめて水を飲みなよ」
まだキースに対して疑いの目があるものの、カルラは酒に酔ったジルを介抱しようとジルの肩を叩く。
「カルラしゃん!」
肩を叩いた人物をカルラだと認識したジルはカルラへと抱きついた。
「おっと、こらジルちゃん。
男の人といるのにそんなに飲んだら駄目よ。
男はみんな狼なんですからね」
「カ、カルラ…」
キースはタジタジになる。
部下に対して、それもまだまだ子供のジルにそんな気は起きない。
そして何よりキースはちゃんと想いを寄せる女性がいるのだ。
本人は知らないが……
「だじょーぶれす!ぶんたいちょーはそんな人じゃないれす!」
そう言うとジルは酒に酔ったへろへろな顔で右手の拳を心臓に当てた敬礼をカルラにみせる。
「ぶんたいちょーは尊敬できる上司なんれす!」
得意げに言うジルに、カルラはジルの言う分隊長、上司、そしてこの敬礼…
「ジルちゃん、あんたもしかして調査兵なのかい!?」