〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第10章 意外な弱点
ジルがカルラからの詰問に困っていると見かねたキースが口を開く。
「おい、カルラ客をいつまで立たせている気だ」
「あ、あぁ、そうでしたね!
キースさん、ジルちゃん好きな所に座ってくださいね」
カルラから離れ、キースとジルは店の端の席につく。
「好きな物を頼むといい。
俺の奢りだから支払いは気にするな」
「えっと、何頼めば良いか分からないので分隊─キースさんにお任せします…」
キースはそうか、というと適当に注文してくれて、二人は運ばれてきた料理に舌鼓をうった。
「だかられすねぇ…キースしゃん。
わたしはぁ…ですねぇ…」
ここに完全に出来上がった一人の女がいた。
そう、ジルだ。
キースに進められるがままに飲んだ酒がいけなかった。
とはいえ、キースも初めて酒を飲むというジルに考慮してかなり弱い酒を飲ませてみたものの、それでもジルはアルコールに弱いのか注がれたジョッキの半分も飲まないうちに酩酊状態に陥ってしまった。
「お、おい、ジル、その辺で酒はやめておけ」
「やだなぁ、キースしゃんが飲めっれ言ったんじゃないれすかぁ…」
参ったな、と感じで溜息をつくキースに他の客の給仕を終えたカルラがこちらへとやってきた。