〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第14章 探り合い
立体機動装置を付けていなかったジルはフラゴン分隊所属の兵士に頼み立体機動で森の中へと連れてきてもらい、訓練の様子が見え、尚且つ邪魔にならぬ場所に待機してリヴァイを待った。
ジルが待機してからしばらく経つと、森の奥からこちらへと向かってくるようなガスを吹かすエアー音がいくつか聞こえてきた。
ジルが待機している場の設置された模型に一人の兵士が項部分にブレードを投擲していたのを見ていると、次に現れた兵士がリヴァイと競うにその模型へと接近する。
その模型の項に刺さったままのブレードが目に入っていないのか、リヴァイと競っていた兵士は項に向かってガスを吹かす。
「おい!!避けろ!!」
「しくじった!!」
ブレードを投擲していた兵士が向かってくる兵士へと避けるように叫んだが、本人が気付いた時にはどうしようもない状況だった。
ジルですら、これはもう間に合わないと思ったその時だった──
兵士達の後方にいたはずのリヴァイがありえない速さで模型まで迫っていたのだった。
そして、兵士が刺さったままのブレードとぶつかるよりも早く、リヴァイは逆手に握ったブレードで刺さったブレードを力いっぱい払いのけただった。
勢いよく飛んで行ったブレードはジルが立つギリギリの所へと突き刺さっていた。
リヴァイはジルを一度チラリと視線をやるも、すぐさま視線を戻しその場から去っていった。
一連の流れを後ろから見ていたフラゴンがジルの方を向き、何か思案する表情になっていた。
【変革の一翼】
恐らくフラゴンはエルヴィン達が言う変革の一翼の一端を今起きた事で感じたに違いないだろう。
ただ…このまま何事も起きない事を願いながら──