〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第2章 美しき過去の日々
頼まれたお使いのパンを置くため自宅へ向ったジルは、息を弾ませてすぐに店へと戻ってきた。
「エルヴィン!お待たせ!早く行こ!」
ジルはエルヴィンの腕を引き店の外へと出ようとする。
「ジル!
そんなにエルヴィン君の腕を引っ張って!
エルヴィン君を困らせたらダメって言ったでしょう?」
「うぅ…」
母に指摘され、
大人しくエルヴィンの腕から手を離す。
その様子にエルヴィンはクスッと笑うと、ジルの手を握り、これなら良いだろうという表情と繋いだ手を持ち上げジルに見せれば、たちまちジルは嬉しそうな素振りを見せた。
「じゃあ、ジルそろそろ行こう?」
「うん!
それじゃあ、お母さん行ってくるね!」
「えぇ、行ってらっしゃい」
エルヴィンに手を引かれ店の外へ出たジルは、エルヴィンの自宅へと歩みを進める。
「ねぇ、エルヴィン今日はどんなお話をしてくれるの?」
エルヴィンの父は教員を生業としている為なのか、エルヴィン自身も幼いながらも随分と博識である。
「今日は授業で父さんにある事を聞いたんだ」
「ある事?」
「父さんは授業中に答えてはくれなかったんだけどね…
っと、そろそろ家に着くから続きは中でね」
そうエルヴィンが言うとエルヴィンの自宅が目視で確認できるほどの距離へと近づく。
そして、自宅へたどり着いた二人は中へと入っていった。