〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第2章 美しき過去の日々
ジルの母は、慌てて出ていく娘を目で見送ると、正面にいるエルヴィンに申し訳なさそうに切り出した。
「まったく、誰に似たのかしら?
ごめんなさいねエルヴィン君。
ジルったら余程あなたの事が好きみたいね」
「僕もジルは本当の妹のように思ってるから、
ジルが僕を慕ってくれてるのは嬉しいんです」
「ふふっ、そうね
あなた達はいつも一緒だったものね。
これからもあの子の事よろしくね?」
エルヴィンはこくりと頷き、今後の事をぼんやりと考えた。
ジルの母から頼まれなくても、
この先もあの子の傍で見守りながら時を重ねていくのだろうと、この時は思っていた──
この後、ジルと自分の家族に訪れる悲劇をエルヴィンは知る由もないまま──