〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第3章 飽くなき探求
自宅に入ると、そこにいたエルヴィンの母と挨拶を交わし二人はエルヴィンの自室へと入っていった。
自室のベッドに腰かけエルヴィンは口を開く。
「今日、僕が父さんに質問したのは──」
エルヴィンは今から数時間前、教室での教員である父とのやり取りを思い出す…
エルヴィンの父は壁内の歴史─人類がこの壁に追い詰められていく経緯について、誰もが教わる歴史を教え子達に教えていた。
この壁に人類が逃げ込んだ際にそれまでの歴史を記すものは何ひとつ残すことができなかった事。
人類の大半が失いつつも、この壁の中で理想の世界を手にしたのだと…
エルヴィンはこの話にあるひとつの疑問を抱き、父へと質問する。
「先生、壁の外に人類がいないって
どうやって調べたんですか?」
エルヴィンの父はこのエルヴィンの質問にまともに答えることも無く授業は終わっていった…
今日の授業での出来事をジルに説明すると、エルヴィンは一つジルへと尋ねてみた。
「ねぇ、ジル。
ジルは壁の外には人類がいないって思う?」
エルヴィンは自分より4つも歳下のジルに自分が疑問に思ってる一つの質問をする。
こんな質問してもこの幼い幼なじみには分からないだろうな、と思い直す。
だが、意外にもこの幼なじみはエルヴィンの質問に対してしっかりと応えを返す。
「巨人は人間を食べちゃうものなんだよね?
じゃあ、巨人たちは外の人間を食べないの?
壁の外に人間がいても皆、食べられちゃったんじゃないの?
やっぱり壁の外に人間がいるのはおかしいよ。
だから壁の外には人類がいないってことなんじゃないの?」
もし、そうでないとしたら、壁の外の人間はどうして食べられないの?
私達と何が違うの?
そうジルは言葉を続けた。