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〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─

第6章 訓練兵団


消灯時間になりユリアナとの話を切り上げ、寝床に潜り込むと暗闇の中で思うのはエルヴィンの事だ。
あれから六年も経つ。
あの頃は分からなかったけど、おそらく自分はエルヴィンに初恋の感情を抱いてるのだろう。
本当に恋なのか?と問われたら正直分からないが、自分にとってエルヴィンの存在は恋してる人以上の存在だと思う。
二人の人間を死に追いやってしまった、言わば共犯者なのだから。

エルヴィンに会いたい…
特に今日はミケと過ごした時間が、エルヴィンと過した過去の光景とよく似ていたからそんな事を思ってしまう。
本当はエルヴィンと共に過ごせれば自分は何もいらない。
そう壁の外の真実でさえも。
エルヴィンと離れるのが嫌だったからエルヴィンが行くと決めた道に着いていきたかった。

調査兵団にエルヴィンがいなかったら─
もし、エルヴィンがいなかったとしても、壁の外の真実を調べてエルヴィンに教えに彼を探しに行けば良い。
そう決めてあったが、エルヴィンがいない調査兵団に本当に入団できるか、やはり不安だ。
巨人の餌に好き好んでなりに行く奴なんていないだろうから。
そんな不安がある故に調査兵団にエルヴィンが在籍しているか調べもせずにいたのだ。

今はエルヴィンが調査兵団にいるという事だけを信じて、ジルは眠りについた。




翌日、前日と同じ姿勢制御の適性検査に受からずこの訓練所を去る人間は何人かいた。
その光景を見たジルは昨夜弱気になった自分を奮い立たせるように、自分は何がなんでもここで、巨人を屠る技術を学んで調査兵団でやって行くのだ。
死なない為にも学べる全ての技術を磨きあげる。
そうすればきっと、辿り着けるはずだから─
この世界の真実に。
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