〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第6章 訓練兵団
結局あの後、ミケと共に夕食を済ませ、宿舎の部屋へと戻って行った。
入浴後に自分の寝床の上で先程のミケとのやり取りを思い出していた。
あんな感じで話すのなんてエルヴィン以来初めてだった。
まだエルヴィンと共にいたあの時と同じような感覚に悪い気はしなかった。
勿論、匂いを嗅がれたり鼻で笑われたり子供扱いされるのは御免だが、それでもミケという男は悪いヤツでは無いというのは分かった。
そんな事を考えていたらユリアナがニマニマした顔でこちらに近づいてきた。
「見たわよー!
えっと、ミケ・ザカリアス君と一緒にいたとこ!」
ジルはこれは面倒くさそうだ、と思いながらも色々勘違いされるのも、もっと面倒な事になりそうだと思い訂正をいれる。
「何か勘違いしてそうだから言うけど、当番が一緒だったからそのまま夕食を一緒にとってただけよ?」
「ふぅん…
それにしては仲良さげだったじゃない?」
ユリアナの怪しむ目線にはぁ、とため息をつくと、一言言い放つ。
「色々詮索されるの面倒だから言うけど私、好きな人いるから。
あ、これ以上は言わないから、色々聞かないでね、面倒だから」
「面倒って二回言った…
というか、えっ?好きな人いるの?」
「詮索は無しって言ったよね?
人の恋愛話なんてここでは関係ないでしょ。
そういう訳だから勘違いして言いふらされたりすると迷惑だから、これ以上はやめてね」
ジルの好きな人が誰なのか大変気になるが、ジルを怒らせてまで聞くのも違うと思ったユリアナは大人しく引き下がった。