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〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─

第7章 訓練の日々


本日から本格的な立体機動の訓練が始まる。
教えられた通りに全身に体重移動装備の耐Gベルトを装着し、腰裏に立体機動装置本体を、両腰にはワイヤー射出装置、それに接続する操作装置を兼ねる超硬質スチールを使用したブレードの柄が取り付けられ、太ももにはブレードの鞘とガスボンベを装着した状態だ。
本日の訓練では立体機動による移動訓練を行うのみなので、ブレードは装備されていなかった。

「全員、装置の取付は済んだな。
よし、これから初歩的な立体機動における移動の訓練を行う」

それから教官は立体機動装置で移動を行う際の手順等の動作を手本として見せた。
その後、訓練兵が順番でアンカーを崖に打ち込みワイヤーを巻き取る事で移動する初歩的な事を実施訓練していく。
そしてジル達の番が回ってきた。

「よし、次の列始め!」

横一列に並んだ訓練兵が教えた通りに一斉にアンカー打ち込む。
この際、アンカーを打ち込む角度が甘いと弾かれたり、上手く壁に刺さらなかったりする。
実際、このアンカーを打ち込むという動作を上手くできない訓練兵は何人かいる。
今まさにジルの隣の訓練兵は進入角度が浅く、一応は壁に刺さったが、中途半端に刺さっていたせいで、隣の訓練兵は感覚が分からず、そのまま勢いよくワイヤーを巻き取るとアンカーが外れてしまったのだ。
ワイヤーを巻きとっている動作中の為、身体は宙に浮いている。
つまり、アンカーが外れているがワイヤーを巻き取っているということは身体はなんの支えもないままに宙に浮いているという事だ。
勿論、外れてしまっても、次にもう一度アンカーを刺し直せば良い。
むしろ立体機動による移動はこれを連続して行うことに意味があるのだ。
だが、本日訓練を開始したばかりの訓練兵にそんな冷静に考えるほどの余裕は無かった。

「マルクス!下に落ちるぞ!
もう一度アンカーを刺せ!!」

教官がそう言うも、訓練兵─オリヴァー・マルクスはパニックに落ちかけ冷静にアンカーを打ち直す事が出来ずにいた。

その様子を既に崖の上へと登りきっていたジルは見ており、このままでは大怪我するのは間違いないだろうと思い、ジルは他の訓練兵の移動に邪魔にならない場所へアンカー打ち込み、勢いよく崖下に飛び込んだ。
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