〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第6章 訓練兵団
教官からの有難い訓示が終わると宿舎へ移動し荷物の整理等を行う。
整理が終わり、夕食までの時間をボケっと寝台の上で明日から始まる訓練のことを考えていると同室の女子達の賑やかな声が聞こえ始めた。
「ねぇねぇ!
みんなはどこから来たの?
これから一緒に頑張ってく同期同士で自己紹介しよ!」
そう一人の女子が皆に提案すれば、
皆もワイワイと賑やかな自己紹介タイムが始まった。
一頻り紹介が終わると最初に言い出した女子がこちらを見上げてきた。
「さぁ貴女で最後よ、サクッと自己紹介してね!」
紹介を促されたジルは寝台から降り、自己紹介をする。
「ジル・ラディウスです。
歳は十二です。
出身はシガンシナ区です」
出身も正確にはシガンシナ区では無いが、一々説明するのも面倒だ。
嘘をついてるってことも無い。
ジルはこれくらいの紹介で十分だろう、と紹介を終える。
「えっと、それだけ?」
もうこれ以上話す事はないと言わんばかりに口を閉ざす彼女を見た同期達は戸惑う。
「えぇ、それだけで十分なのでは?」
自分でも随分とあっさりな紹介ではあったと思うが、別にお友達ごっこをするつもりでここに来た訳では無い。
そんなジルは皆との温度差を感じ、この場にいるのが気まずくなり、部屋の外へと出ていった。