• テキストサイズ

〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─

第5章 悲しみの連鎖


シガンシナ区を離れ、開拓地へと一人やってきたジルは、誰かと親しくすることも無くただ毎日決められた労働を黙々とこなしていく日々を送っていた。

一日の労働が終わり、与えられた寝台の上でジルは考え事をしていた。
あと一年、ここでの生活を辛抱して、その後に入団する訓練兵団を卒団して、調査兵としてエルヴィンと再会ができるだろう。

けれども、もしエルヴィンが訓練兵団に入団していなかったら?
よしんば訓練兵団を卒団してたとしても本当に致死率の高い調査兵団に入団しているのだろうか…

開拓地に来てからそんな事ばかり考えてしまう。
家族と死別したジルにはエルヴィンしかいないのだ。
また再びエルヴィンと同じ時間を共有できる日々が本当に訪れるのかと、疑心暗鬼に陥る。

だが、ジルは思った。
もし、エルヴィンが調査兵団にいなかったとしても、それはそれで良い。
だって、壁外に行くことがなければエルヴィンが死ぬような危険がぐっと下がるはずだから。

それならば、エルヴィンがいなくなってしまう事への不安もなくなる。
自分は安心して壁外へ真実を探しに行く事が出来る。
勿論、簡単には死なない。
その為に訓練兵団では、出来うること全ての知識を学ぼう。
そうして、真実がわかった時にはエルヴィンを探しにいこう。
私達の父は間違っていなかったんだ!
そうエルヴィンと声高々に語らう為に。

そんな事を考えながら寝台に横になって目を瞑り、明日の労働に備える為、早々に眠りについた。
/ 149ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp