〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第5章 悲しみの連鎖
「ほんとうに行くのかい?」
「はい、頼る人はいないし、
私、来年には訓練兵団に入団しようと思ってますから、開拓地に行っても精々一年ですし、一年くらい体力作りとして働いてきます」
診療所できちんと静養したジルは、心はともかく身体は元気を取り戻した。
そして、頼る身寄りも無いためジルに残された道は一つだった。
開拓地に行って労働を行う事だった。
親を亡くしたジルにグリシャは、ここ数日とても良くしてくれた。
開拓地に行く事が決まり、とても心配してくれたが、この度の感染病で親を亡くし開拓地送りにされる子供なんてざらにいて珍しくもないだろうに─
診療所を後にしたジルは、同じく開拓地に送られる人々と共に荷馬車に乗り込み数年住んだこのシガンシナ区に別れを告げたのだった。