〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第5章 悲しみの連鎖
あの後、ジルが運び込まれて目を覚ますまでに三日掛かったと聞き、その間に母と祖父は既に火葬されてしまったと聞いた。
感染病に掛かり亡くなった人はすぐ様火葬しなければならなかった…と。
親の死に目に会えなかったのは二度目だ、しかも今度は見送ることもできなかった…
嗚呼なんて親不孝な娘なのか─
そう思うと、とてつもなく自分が最低だと感じてしまう。
今回の事は仕方の無い事とはいえ、慰めてくれる母も祖父も幼なじみもいないこの状況では自分を卑下することしかできなかった……
残酷な話を聞いてからどのくらいの時が経ったのだろうか…
いつの間にかグリシャはその場から立ち去っており、広い病室には何人もの患者がいるのにジルはこの世界に存在するのが自分だけなのでは、と思えるくらいに孤独を感じた。
「私、一人ぼっちになっちゃったよ…
エルヴィン…会いたいッ─
ここは寒いよ…」
実際には寒くはないだろうが、一人になった孤独感で寒さを感じたジルは、寝台の上で膝を抱えるように座り、膝に顔を埋め涙を溢れさせた。