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〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─

第5章 悲しみの連鎖


病人が収容されてる施設の寝台の上でジルは目覚めた。
ジルはここに運ばれるまでの経緯を覚えていなかった。
確か、自宅で母と祖父が倒れ高熱を出した二人を助けてもらおうと助けを呼びに自宅を飛び出した所までは記憶がある。
母と祖父はどうなったのか、二人はどこにいるのだろうと辺りを見回すもそれらしき人はいなかった。

そんなジルの様子に気づいた一人の男がジルに近づいてきた。

「君はカルラと一緒の所で働いているアマリアさんの娘さんだね」

丸眼鏡をかけた男は母の名前を知り、母の仕事先で一緒に働いてるカルラの名前を親しげに呼んでいる事からして母の知人なんだろうとジルは思慮する。
そしてジルは目の前の人物に母と祖父の所在を尋ねた。

「あの、貴方は?
それと私のお母さんとおじいちゃんが何処にいるか知りませんか?」

そう聞かれるだろうと分かっていた男─グリシャは、ジルから視線をずらし、こう答えた。

「私はグリシャ・イェーガー。
ここで医師をしている者だよ。
それと、君のお母さんとお祖父さんの事なんだが、すまない…ここに運び込まれた時点では手の施しようがなかったんだ…
君も同じ病に罹っていたんだが、君は発見が早かった上にまだ感染間もない状態だったが故に助かったんだ」

ジルはグリシャの話で母と祖父がもうこの世にいない事を知った。
その事実を知った後、グリシャが話す内容は殆ど耳に入っていなかった。
また家族を失ってしまった事の喪失感で呆然とするしかできなかったのだ…
あの時、ジルの父との約束を破り、二人の兵士に話を聞かれてしまった事への罰は未だに続いてるのか、と。
あの時、約束を破らなければまだ己は父と母とあの街で共に暮らし、エルヴィンとも離れる事は無かったのでは…と──
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