〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第2章 美しき過去の日々
「ジルー!」
まだ夕暮れ時と呼ぶには早い時間に、ジルという名を呼びながら走ってくる少年─エルヴィンに少女─ジルは気付くと、彼よりも幼いジルは顔いっぱいに笑顔を浮かばせながらエルヴィンに駆け寄った。
「エルヴィン!もう学校は終わったの?」
「今日はもうお終いだよ!
ジルは今日もお手伝い?」
エルヴィンはジルの頭を撫でた後、パンが入ったカゴを手に持つジルに尋ねた。
「うん!でももうすぐ終わるから、
今日もエルヴィンのお話聞きたい!」
ジルがそう答えるとエルヴィンは嬉しそうに笑い、ジルの要望に応えるようにひとつ頷いた。
「よし、それなら先ずはジルの家に行ってお手伝いを終わらせてから僕の家に行こうか」
エルヴィンの自宅とジルの自宅はそう遠くはなく、エルヴィンの学校帰りの道中にジルの自宅はある。
ジルの両親は様々な書籍を扱う書店を営んでおり、住居はその書店の上階にかまえていた。
「今日お父さんは新しい本の買い付けに出かけててお母さんがお店にいるから1回お店に行ってエルヴィンの家に遊びに行くことお母さんに伝えてくるね!」
「うん、そうだね。
僕もおばさんに挨拶するから一緒に行こう」
エルヴィンの言葉にジルは頷き、二人はジルの家が営む書店へと歩き出した。