〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第14章 探り合い
ハンジ達と別れて当初の目的であるフラゴン分隊長らが訓練を行っている場へと着いたジルは、先にフラゴンの元へと向かった。
「フラゴン分隊長」
部下達に指示を行っているフラゴンがジルに呼びかけられそちらに向いた。
「ジルか。
今日はエルヴィンと共に団長等と会議じゃなかったのか?」
本日二度目の質問に、エルヴィンの補佐だから仕方のないことではあるが、常に自分はエルヴィンとセットなんだな、とジルは思った。
不快に思う事は無いので別に構わないが。
「今日は会議と言ってもそんなに重要な内容ではないので、私は自由にさせてもらったの。
それに、エルヴィンが強引に連れてきた三人の様子も知りたかったし」
「そういう事か…
まぁ、あの三人は…」
何か言い淀むフラゴンにジルは何かを察した。
「あの三人、面倒みるの大変?」
「エルヴィンが強引に連れてくるだけあって、三人ともポテンシャルは高い。
…が、兵士として見るとな…」
言いにくそうに答えるフラゴンにジルはある質問をする。
「それは、三人が地下出身だから?」
核心を突かれたからなのかフラゴンは一瞬、言葉に詰まるも、肯定した。
「そうだな…違う、とは言いきれないな。
上に住む人間とはどことなく違う。
表面上は何とか繕ってるが、特にあのリヴァイって奴はいつこちらの寝首をかいてやろうかと虎視眈々と狙っているような雰囲気だ」
「そう…」
「………なぁ、ジル。
お前なら知っているだろう、何故エルヴィンが上を通してまであのリヴァイ達をここに連れてきたのかを。
いくら立体機動に優れているとはいえ、兵士として欠陥のある連中を欲した理由を…」
フラゴンに問われたジルはロヴォフ等については詳しく話せなかったが、リヴァイを欲した理由を話す。
「“変革の一翼”」
ジルは一言こうフラゴンへと伝えた。
「変革の一翼…?」
「えぇ、彼等はきっと調査兵団にとって…いえ、人類にとっても変革の一翼となってくれるでしょう。
彼等━リヴァイは特別な存在になってくれるとエルヴィンは考えてる。
勿論、エルヴィンだけじゃなく私も」
ジルは静かに、だが、意志の強い声音でフラゴンへと話した。