〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第14章 探り合い
「あの三人って、ジル達が態々地下街まで行って連れてきたって聞いたけど、そんなに凄い人材なの?」
ハンジは興味津々といった様子で前のめりになりながらジルに話を求めた。
「えぇ、ファーランやイザベルも訓練兵団を出てないのに立体機動の腕前は凄かったわ。
だけど、一番はあのリヴァイね」
「へぇ…
ジルが言うのだから間違いは無さそうだ。
よし、私もジルと一緒にリヴァイの訓練の様子を見に行こう」
ハンジのこの良い事を思いついたと言わんばかりの口振りにジルは一つ疑問が浮上する。
「見に行くって…貴方、自分の班員の面倒は見なくて良いの?
貴方の班も訓練でしょ?」
ジルがハンジに指摘すると、ハンジは頭をわしゃわしゃと掻き、ニコッと良い笑顔を向けてきた。
「んー。
モブリットがどうにかしてくれるよ!」
この発言に呆れたジルはあのねぇと注意をしようとしたが、ハンジの後より迫る足音に気付き、その人物に委ねる事にした。
「どうにかなる訳無いでしょう!
あんた、班長でしょうが!」
後から鬼気迫る形相でハンジの腕を掴む男─そうモブリット・バーナーである。
「あはは…モブリット、凄く良いタイミングだ。
いや、私にとっては凄く悪いタイミングと言うべきか─」
「ハンジさん!
あんたって人は…もう、とにかく行きますよ!」
そういうとモブリットはジルに一礼してハンジの襟を掴むとそのままズルズルと引き摺りながらその場から去っていった。
勿論、ハンジはわーわー騒いでいたが…
ハンジ達を見送ったあと、ジルは気を取り直し、リヴァイ達が立体機動の訓練を行ってる場所を目指し、その場を後にした。