〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第14章 探り合い
フラゴンと話し込んでいると、丁度訓練に参加するリヴァイがフラゴンのもとへとやってきた。
「貴様…
なんだその持ち方は。
これはそのような持ち方を想定して作られていない。
壁外で真っ先に死にたいのか」
リヴァイはブレードを装着し、そのグリップを握る手が逆手にして握っていたためか、フラゴンに注意されていた。
……が、リヴァイはフラゴンの注意をものともせず、フラゴンに楯突いていた。
「てめぇならそうかもな」
このリヴァイの言葉にフラゴンはカッとなる。
「なんだと…」
フラゴンが激高するのを分かっているだろうにリヴァイはそのまま続ける。
「要は巨人のうなじが削げりゃいいんだろうが。
俺は好きにさせてもらう」
そう言ってリヴァイは森の中にある模型で訓練する為、フラゴンのもとから去ろうとして、木に凭れてリヴァイ達の様子を伺うジルに気づく。
ジルとリヴァイ、二人の視線が交差するも、直ぐに視線は逸らされた。
しかし、すれ違いざまにリヴァイはジルへと言葉を口にした。
「今日はご主人様と一緒じゃねぇんだな。
あの野郎から俺の監視でも命じられたか…
はっ、ご苦労な事だな」
リヴァイの言うご主人様とはエルヴィンの事だろう。
本日三回目の話題にジルはいっその事開き直る事にした。
「えぇ、ご主人様と離れるのは寂しいわ。
でも、別に何かを指示された訳では無いわよ?
ただ、私が貴方の飛ぶ姿を見てみたかったの。
ダメかしら?」
そうジルに問われたリヴァイは何か探るような目でジルを眺めたあと口を開く。
「……勝手にしろ」
リヴァイはそれだけ言うと振り返ることも無く森の中へと入っていったのだった。