〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─
第14章 探り合い
ジルとエルヴィンは互いに唇を奪い合いながら濃厚な口付けに夢中になる。
二人の呼吸は熱を帯び、漏れ出る息はなんとも官能的だ。
「んッ…はァ…ッ─」
エルヴィンは口付けをしながら拘束しているジルの手の一つを解放し、空いた手でジルのシャツのボタンを外していく。
「エル…ヴィン!
この後、会議でしょ!」
エルヴィンの行動にジルは慌てて離れて抗議した。
「そうだな」
シレッと応えるエルヴィンにジルは少し腹を立てるが何だかんだ言いながらもエルヴィンを求めている己がいる事も確かな故、それ以上は責められなかった。
ジルがエルヴィンによって外されたボタンを止め直していると扉に近づいてくる足音が聞こえた。
コンコンッ─
「分隊長、時間です」
「あぁ、ありがとう。今行く」
扉の外から掛けられた声にエルヴィンは返事を返すと、机の上に置かれた封筒をジャケットの内ポケットへとしまい、会議に出る為、部屋から出ようとする。
ジルもそれに続こうとエルヴィンの後に立つが、エルヴィンがくるりと振り向きジルを見て口を開く。
「お前は今日の会議に同行しなくて良い」
「どうして?」
分隊長付きの補佐官である自分が会議に出席しなくて良いとはどういう事か理解できないジルは首を傾げ、エルヴィンに説明を求めた。
すると、エルヴィンはジルの顔…というより唇に指を這わせる。
「お前が気にしないのなら良いが…」
そこまで言うとエルヴィンは言葉を切り、ジルの耳もとへ唇を近づけた。
「男に良くされましたって顔をしてるぞ。
そんな顔で会議に出ようものなら、間違いなく男共はお前の痴態を想像するだろうな」
「なっ!」
先程のエルヴィンとの口付けで己の顔が蕩けていると指摘され、ジルは言葉を失う。
そうさせたのはエルヴィンなのに、当の本人はどこ吹く風だ。
「お前は俺が出てからしばらく経って頬の熱が治まったら出るが良いだろう。
会議は俺だけで行ってくる、お前は好きにしたら良いさ」
エルヴィンは言うだけ言ってさっさと部屋を出て行ってしまった。