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〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─

第14章 探り合い


ジルはお茶を飲み終えると、窓際に立ち、外を眺めるエルヴィンの傍へ寄る。

「“変革の一翼”…
本当に彼等はそれを担う事ができるのかしら…」

ジルはエルヴィンの傍に寄るともたれ掛かるようにその身をエルヴィンへと預ける。

「なってもらうさ…
そうでなければここまでする必要は無かったからな…」

「えぇ、そうね…
エルヴィン、みて」

エルヴィンの個室から見えるのは兵舎裏にある訓練場だ。
ジルが何かに気付き、エルヴィンを促した。
そこに見えたのはたった今話していた三人の内の一人、ファーランが先輩兵士と共に丸太に体を預け休憩をしている様子だった。

「彼、ファーランと言ったかしら…
どうやってエルヴィンのもとにあるロヴォフの不正の証拠を取り上げようかって必死みたい─
ここがエルヴィンの私室だと知れば喜んで忍び入るでしょうね。
まぁ、それを知りつつこうやって自分の部屋を教える貴方は本当に悪魔ね」

クスクスと笑うジルにエルヴィンはその悪魔のやる事に笑っていられる君も大概だがな、とジルを抱き寄せた。

「酷いわね、私は貴方ほど悪魔になれないわ─というより、悪魔になれるほど知恵が回らないもの。
そうね、私は悪魔の使いって所かしら?」


「ふっ、悪魔の使いにしては悪魔である俺を振り回してるじゃないか。
ジルは差詰め小悪魔って所かな」

エルヴィンのこの意地悪な笑みにジルは窓際に立つエルヴィンの襟を掴み、外からの死角になる壁へ彼を押し付けると、背伸びをして掴んでいる襟を引くようにエルヴィンを屈まさせて彼の唇を己のそれで奪う。

「どう?小悪魔っぽい?」

したり顔でエルヴィンに問うジル。

「お前は大層な小悪魔だよ」

そういうとエルヴィンは己の襟を掴んでいるジルの手を逆に拘束すると今度はエルヴィンがジルを壁へと押し付けて荒々しく口付けを交わす。
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