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〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─

第13章 変革の一翼


エルヴィン達に近付くと捕らえていたイザベルが暴れだした。

「離せっ!!この!!」

「無駄に暴れるなイザベル」

ファーランが注意するも言う事を聞かないイザベルにジルはため息をつき、手枷を掴む手に力を込める。

「エルヴィン、無事?」

「あぁ、二人とも良くやってくれた」

エルヴィンの無事を確認したジルは荒っぽくイザベルに膝を付かせた。
リーダー格の男もミケによって手枷を嵌められ他の二人と同様に膝を付かされエルヴィンの前に並べられた。







「いくつか質問させてもらう。
これをどこで手に入れた」

エルヴィンは立体機動装置の柄部分を持ちながら三人に問う。

「………」

「………」

だが、三人はエルヴィンの質問には答えなかった。
エルヴィンは気にせず次の質問へと移る。

「立体機動の腕も見事だった。
あれは誰に教わった?」

「………」

「………」

この質問にも三人は答えなかった。
エルヴィンはそれも気にせず、今度は端に膝立ちさせているリーダー格の男に詰め寄った。

「お前がリーダーだな?
兵団で訓練を受けた事があるのか?」

「………」

リーダー格の男はこの質問にも答えなかった。
ただ、憎悪に溢れた眼でエルヴィンを見ていただけだった。

「どうやって私たちを殺して逃げてやろうか、といった顔だな。
できれば手荒なマネはしたくないのだが…」

そう言うとエルヴィンはミケに合図する。
ミケは一つ頷くと、リーダー格の男の髪を掴み力一杯、下水が溜まる地面へと男を押し付けた。

「ぐっ」

男からは苦しそうな声が聞こえてくる。
それを上から眺めるエルヴィンは男を冷めたで目で見ながら再び問う。

「もう一度訊こう。
立体機動をどこで学んだ?」

男は押し付けられたままエルヴィンを睨む。
問いには答えなかった。
二人の睨み合いが続く中、耐えかねたのか男の横にいる少女─イザベルが声を発した。

「誰にも習ってねぇよ!!
公僕の分際で偉そうにいばるな!!」

イザベルに続き、隣にいたファーランも声を発する。

「ゴミ溜めで生きるために身につけたのさ。
下水の味も知らねぇお前らには分からんだろうよ」

エルヴィン達を前にファーランは静かに皮肉を言ってのけた。
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